僕らが生きていくなかで、過去の出来事が、ふと今に立ち返って支えてくれることがある。苦い経験も、苦労も、いっときは重く感じたかもしれないけれど、やがて、それが未来をつくる糧になっていく瞬間があるんだな。

それに気づくと、なぜか心が軽くなる気がする。僕らが経験してきたすべては、偶然でなくて必然だったのかもしれない、と。

あのときの悔しさ、痛み、不安、そうしたものが今に繋がって、次に進むためのエネルギーをくれる。なんとも不思議なものだ。たとえば、ひどく疲れていたあの日の失敗、つらくて逃げ出したくなったあの場面さえ、今の自分を支える一部になっていると気づいたとき、過去への見方が少しだけ変わる。

考えてみると、これまでもずっと、どんな苦労も少しずつ、財産に変わってきたんじゃないかと思う。ときには、それがどんなふうに役立つかなんて、思いもよらない形で現れることもある。たとえば、過去のある仕事で得た経験が、まったく別の分野で急に必要になることがある。あるいは、昔は理解できなかった言葉や考えが、今の状況でようやく腑に落ちることがある。それが、人間力というものかもしれない。

そして、大事なのは、今この瞬間の「一歩」をどう踏み出すかだ。過去をふり返り、明日を思い描きつつ、結局のところ一歩一歩しか進む道はない。今日もまた、その一歩を大切にしよう。過去が今を支えて、未来がその先で僕らを待っている。未来の自分が笑っている姿を想像しながら、少しでも力強く、確かに、進んでいきたいものだ。